めんどくさい日々の経理をなるべくラクにするため、「現金」使うのやめようという件についてまとめてみます。
「現金」の残高、ちゃんと合ってる?
先日お仕事のご依頼を頂いたお客さまで、過去の決算書や帳簿を見たときに気になったのが「現金」。
「現金」そもそもある?
お客さまにお話を伺ってみたところ、個人で立て替えた経費のレシートを入力する際、相手科目を「現金」で仕訳登録しているとのことでした。
でも、実際には生活費と同じお財布からお金を出しているとのこと。
帳簿上の「現金」勘定の動きを見ると、残高がマイナスになっている日があったり(現金がマイナスになるというのは通常あり得ません)、残高を合わせるということも当然されていません。
個人事業主の場合、生活費と事業用の現金を分けていないケースは多いと思います。
法人の場合でも、社長のポケットマネーで会社の経費を立て替えておくことはあるかと。
事業用の現金がある場合は別ですが、そもそもない場合は「現金」勘定は使わないようにしましょう。
「現金」を使わず処理する方法
経費をプライベートのおサイフから立て替え払いした場合、個人事業主は「事業主借」、法人は「役員借入金」で仕訳します。(プライベートのクレジットカードで支払ったときも同じです。)
× 消耗品費 550円 / 現 金 550円
◯ 消耗品費 550円 / 事業主借(役員借入金) 550円
「事業主借」はよく分からない科目ですが、「経費を支払うためのお金を事業主から借りた」と考えるとわかりやすいと思います。
「役員借入金」は「役員(社長)から借りた」です。
現金勘定を使わないことで、残高の確認をする手間も省け、お金が合わない…と慌てる必要もなくなります。
法人で「現金」がないなんてことないでしょ、と思われるかもしれませんが、ひとり社長の場合は「現金」は使わない方が断然ラクです。
このお客さまは、「現金」っていう勘定科目が会計ソフトにあるからなんとなく使っていたとおっしゃっていました。「現金って使わなくて良いんですね…」と。
決算書に「現金」がないからと言って税務調査でそれ自体を指摘されることはないし、逆に現金勘定を使っているのに実態と合っていない方が問題です。
「事業主借」、「役員借入金」は最終的にどうなる?
個人事業主の「事業主借」は、1年の終わりの時点ではその年の合計額が決算書に残ります。
ただ、翌年にはリセットされてまた0円からのスタートになります。(事業をするためのもとでである「元入金」に組み込まれます。)
対して法人の場合の「役員借入金」は、何もしないと翌期も帳簿に残り続けます。
役員借入金がどんどん積み上がると、帳簿に載っている資産のうちどれだけが会社のものなのかがわからなくなってしまいます。
そうならないように、月末などタイミングを決めて清算する(会社のお金から役員に返金する)ようにしましょう。
現金決済をなくすのがベスト
もっとオススメは、そもそも現金を使わないようにすることです。
経費はクラウド会計に連携できる方法で支払う
最近は、殆どの店舗でクレジットカードや電子マネーなど何らかのキャッシュレス決済が使えます。
クレジットカードや電子マネーはクラウド会計と連携すれば取引履歴が連携されてくるので、仕訳を手入力する必要がなくなり、経費の登録モレも防げます。
たまに、セブンのネットプリントとか、現金しか使えないパターンもありますが…。(なんとかしてほしい。)
私は自分の会計にfreeeを使っていますが、いま見返してみたところ、プライベートの現金で支払った経費はセブンのネットプリントと洗車代(地味に現金しか使えないところが多い)ぐらいでした。
freee会計で連携しているのは、freee請求書(売上連携)、楽天カード、Amazon、ASKUL。
私の場合、これでほぼ手入力をなくすことができています。(そもそも取引が少ないって話もありますが…)
売上金を経費の支払いに使わない
現金を使わないと言っても、現金売上がある場合には現金をなくすというわけにはいきません。
ただこの場合でも、現金は売上で入ってくるのみ。
ここから経費を支払わないようにすることが、現金の管理を複雑にしないコツです。
現金が入ってくる、出ていくの両方があると、どうしても残高の管理が大変になり間違いも発生します。
溜まった売上金は、そのまま早めに銀行口座に入金する。経費はキャッシュレス決済。
これを徹底していきましょう。
会計業界では、よく「現金も合っていない」と言われる会社があったりしますが、現金を合わせるのって結構難易度の高いスキルかと。
過去に子どもの部活の会計をしたとき、神経使うし正直私はウンザリしました…
おわりに
「現金」勘定。使わないといけないものではありません。
なんとなく帳簿にあるって方もいらっしゃると思いますが、日々の経理をめんどくさいものにしないよう、サクッとなくしていきましょう。
*編集後記*
先日、娘の学校関係の行事で、映画『ビリギャル』のモデルである小林さやかさんの講演を聴く機会がありました。
とても楽しみにして行ったのですが、日本中の全大人に聴いてほしいと思えるような、想像以上にとっても良いお話でした…。涙
できれば、忘れないうちに記事にしたいなと。
(この講演会の帰り、駐車場で現金しか使えずめっちゃ大変でした…)
