ひとり仕事を選んだ以上、やれること、やれないことを判断する必要があります。
今回は「記帳代行」について、独立したての頃と現在で考え方が少し変わってきたので、今の自分の考えを記しておきます。
記帳はお客さまにやってもらう?
税務顧問をお受けする際、「記帳=帳簿付け(会計ソフトへの入力)」は誰がやる?問題が出てきます。
独立した1年前は、記帳代行は受けない方向で考えていました。
いちばん大きな理由は、冒頭にも書いたとおり、ひとりで開業するから。
それまで所属していた事務所では、自計化(お客さま自身で記帳を行う)のお客さまが多く、記帳代行を受けているお客さまがいらっしゃったとしても、所内の補助のスタッフの方が入力を担当してくれていました。私は、入力された帳簿を見るところからが自分の仕事、というやり方で仕事をしていました。(そもそも仕訳を高速で入力するっていう作業が超絶苦手だったので、速く正確に入力できる人ってホントすごいと思っていました。)
ただ、ひとりで開業するとなると、そういった「分業」はできなくなります。
入力をしてくれるスタッフを雇うという選択肢はなかったので、記帳はお客さまにやってもらう方向で行くしかないなと思い、実際に開業したての頃にご依頼を頂いたお客さまにはそのようにお答えしていました。
正直、自計化のお客さまにご依頼頂くことが、なんか格が上?みたいなヘンなこだわりがあったのかもしれません…
お客さまとのやりとりの中で感じたこと
とはいえ、勤務していた頃と開業してからでは、自分がお役に立てる(ターゲットにする、と言うとなんか偉そうですが)お客さまがそもそも違うなぁと。
これまでのお客さまは、事業規模も大きく「経理担当」の方がいらっしゃる会社が多かったのですが、開業したばかりだったりひとり社長として事業をやっていこうと思われている方には、そういった専任のスタッフはいないことが殆どです。
お客さまの中には「自分でやってみます!」という社長もいらっしゃいますが、その余力がないお客様が多いのも事実。
そこで無理にお客さまに入力してもらうことにこだわり、入力が終わるまでただ待ち続けるのは、お互いにとって効率的じゃないなぁと思うようになってきました。
最初に会計事務所に就職した頃、ちょうど確定申告時期だったこともあり、大量の領収書を1枚1枚見ながら会計ソフトに仕訳入力して…という作業をワケもわからずやっていました。ただ段ボールに詰められて送られてきた領収書の中には内容がわからないものも多く、とりあえず「仮払金/事業主借」という仕訳を無数に入力した記憶が…。
これが私がやっていた頃の記帳代行で、ひとりで開業している今、もし同じ作業をやらないといけないとしたらまず無理なのですが(1日中ひたすら仕訳入力だけやれればできると思いますが)、今の時代の記帳代行はだいぶ違います。
クラウド会計で金融機関連携やクレジットカード連携ができたり、売上や経費も、資料さえ揃っていればExcelにダダダーーーーっと打って仕訳インポート(雑な説明でスミマセン。笑)という方法があります。事業用の口座を作ってその口座でお金のやり取りをする、口座を通さない経費の支払いはなるべくすべて事業用のクレジットカードを使用してもらうなどのルールを徹底して頂ければ、それで殆どの入力が終わってしまいます。(もちろん、経費の内容やこの入金なに?とかこちらでわからないことについては、お客さまとやり取りをして解消していく必要があります。)
簿記の知識がなくてもクラウド会計を入れれば帳簿は出来上がる!なんてことはあり得ないし、先日ブログに書いた、売上を「発生主義」で上げるという原則を理解して頂くのもハードルが高い場合もあります。
そういう場合には、発生の仕訳はこちらでまとめて入力し、入金の部分だけ金融機関連携データからお客さまに入力して頂くなど、「完全記帳代行」ではなく「部分記帳代行」で、お互いにストレスなく正確な帳簿が仕上がればそれが良いのかなと。
やりながら方向性を変えていく
独立するときは、いろんな理想を描いてこうしようとかこうあるべきとか考えてしまっていたのですが、実際にお仕事の依頼を受けたり周りの方と話をしていると、もしかしたらこのやり方がベストじゃないのかも、もっとお互いに負担がかからない方法があるのかも、と思うことが出てきます。
記帳に関しては、お客さまに入力して頂き、お客さま自身でリアルタイムで数字を見れるようになって、というのが理想なのは確かかもしれませんが、ひとり社長などスモールビジネスをされている方がそこに行き着くまでには相当なハードルがあるのも実感しています。
ブレまくりと言われればそこまでですが、こんな感じでお客さまに合わせてやり方を変えていくことで、自分にとってもお客さまにとってもストレスの少ない仕事をしていければ良いなと思います。
おわりに
税務顧問で記帳代行を受けるかどうかについて、今の考えを綴ってみました。
業界のトレンドとか時代の流れとかとかいろいろありますが、自分のやり方をガチガチに固めてしまわず、良い意味でゆるく流動的に仕事ができればと思っています。
*編集後記*
写真は地元の図書館。(をカメラではなくiPhoneで撮影…)
いつも基本的に自宅で仕事をしていますが、この日は図書館でオンライン研修を受けました。誰にも会わなくても、家から出るって大事ですね。併設のカフェでランチして、良い気分転換になりました。
